事例紹介
CASE STUDY

横河電機株式会社 × 株式会社カルモア様の導入事例

「“いま”に集中することの大切さを学び、社外に出たからこその気づきを得ることができた(職種:デザイナー、留学頻度:週1日、留学時:新卒入社10年目)

横河電機株式会社 × 株式会社カルモア
  • 目的

    当事者意識とスピード感で未経験なミッションにチャレンジすることで、リーダーとして一皮むける体験をする

  • 背景

    現状デザイナーとしてできることが限定的であることから、よりユーザー視点を高め、自社では携わることができないことを経験してもらいたい

  • 効果

    考えすぎるのをやめて目の前のことに集中することの大切さを学んだ/周りに対して良い影響を与えたことや仕事のスピード感に対してのフィードバックをもらうことで、社外に出たからこその気づきを得ることができた

 

他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学中、留学後の想い、そして「留学後に何が変わったか」について、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、横河電機株式会社。他社留学を経験したのは、マーケティング本部事業開発センターエクスペリエンスデザイン部 小林さんです。留学先は、臭気対策コンサルティング、脱臭装置販売、脱臭作業、防かび作業、消臭剤販売を行う企業、株式会社カルモアです。留学中は、屋内向けの除菌製品や工場向けサービスの新製品開発にデザインの観点を用いて携わりました。

 

所属

横河電機株式会社

留学先

株式会社カルモア

他社留学期間

週1日/6ヶ月間(2021年4月~2021年9月)

留学した人

エクスペリエンスデザイン部 小林 惇さん(留学時:新卒入社10年目)

送り出した人

エクスペリエンスデザイン部長 髙野 直人さん


--まず初めに、留学中は新製品開発に携わったとのことですが、具体的にどのようなことをされたのですか?

小林さん(以下、小林) 新製品の試作機を利用して使い勝手を検証したり、プロモーション用の資料を作成したりしました。そのほか、ある製品のユーザーへのインタビューと市場調査を計画・実施し、経営層に報告する取り組みも行いました。

小林様が開発に携わった抗ウイルス抗菌強化型 酸素クラスターイオン除菌脱臭機【WK-800】
https://www.karumoa.co.jp/product/anti-virus/wk-800/

 

--留学が終了して、今はどんなお気持ちですか?

小林 そうですね、今は「やり切れて良かった」という気持ちが強く、ホッとしています。留学中にやろうと思っていたことは全てやりきれた気がします。所属企業のプロジェクトでも、もちろんやり切れたと思えることもありますが、そう思えない時もあります。所属企業だと他部署から依頼してもらった案件をやる形になるので、案件が首尾よく進まない場合、不完全燃焼になってしまうこともありました。

--留学中はどのようにプロジェクトが進んでいったのですか?

小林 今回私が携わったプロジェクトは、所属企業での業務とは全く違うものだったので、いわゆるデザイン作業を行ったというわけではありませんでした。一方、私たちはUXデザインのアプローチ-色・形を考える前に、ユーザーをよく知り、本当に望んでいるものは何かを考える-を社内に浸透させていくというミッションも持っています。

今回、留学先の新製品開発に携わることができたので、途中からではありましたが、UXデザインの普及をトライすることができました。留学先も親切に、積極的に協力してくださって、1サイクル回すことができ、無事完遂させられました。プロジェクト終了後、私が提案したツールが留学先の社内に定着したこともあって、成功体験になったと感じています。

--所属企業の課題解決につながるような成功体験を留学先で積むことができたのですね。

小林 そうですね、ちょうど留学と並行して所属企業内でUXデザインを浸透させていく計画を立てているところだったので、その実践を留学先で同時並行することができました。社内ではこれまでデザイナーが企画者と接する機会がなかったので、「企画者の価値観とはどういうものだろう、どういう人たちなのだろう」というのを知ろうとしていたところでした。今回の留学では、プロジェクトによっては製品企画の段階から入れたので、企画者と関わりながらいろいろな手法を盛り込み、新たな価値の提供につながった経験ができました。これは社内に対して一つの成功例として示せるんじゃないかと思います。

また、今回の留学中に動画制作にも携わらせていただきました。留学先を決める段階で、カルモアの採用の一環として公開されているYoutube動画を見たのですが、映像を見ることで会社の雰囲気を感じ取ることができ、「この企業でチャレンジしたい」と思うことができて、留学先を決めたということがありました。これまで表現者として動画制作に関わったことがなかったので、自分もやってみたいと思って、新製品に関わる動画制作にも関わらせていただきました。こういった様々なメディアも使いながら表現して伝えていくという今後につながる貴重な体験ができたと思います。

(小林様が制作に携わったYoutube動画のサムネイル)

 

--留学中に今後に繋がるたくさんの良い経験ができたのですね。そのような経験をする中で、どんな学びや気づきがありましたか?

小林 一番の学びは、伴走者との面談で「考えすぎると手が止まる傾向にある」ということを言っていただいたことでしょうか。留学の早い段階で伴走者にご指摘いただいて、考えすぎるのをやめて目の前のことに集中しようと切り替えて、トライして、うまくいって・・・という一通りの経験ができたのがとても大きかったように思います。いちいち悩まないで目の前のことに集中することがスピードの向上にもつながったと思います。

今までは始まる前に色々心配してしまうことが多かったのですが、考えないまま進めても問題がなく、心配するようなことは起きないという安心感のようなものを体感することができました。「なんとかなるだろう」と楽観的な気持ちを持てるようになったと思います。これまでは意識が未来に飛んでいたような気がしますが、今回の留学を通して起きてもいない未来の失敗を気にするのではなく、未来に失敗しないために「今何をするのか」ということが大事であることがわかりました。

また、留学先の方から「仕事が早いですね」と言ってもらえたのも自覚と違ったことなので気づきになりました。たしかに仕事を早くするように頑張ったというのはありますが、早くてしっかりとしたアウトプットが出てくると何度も評価してくださったことは嬉しかったです。

(小林さん:写真 前列中央)

 

--それ以外にも留学先から高く評価されていたという話を聞きましたが。

小林 私が果敢にチャレンジしようとしている姿勢を見て、留学先の方が「私たちも考えすぎているのでは?と気づかされることがあった」と言っていただいたのですが、なかなか自分ではわからない部分でしたのでお話いただけてとても嬉しかったです。私が色々な未知の体験にチャレンジしたことが留学先に対して良い影響、波及的な影響を出せたのは嬉しいですし、意外でもありました。これまで仕事で関わる人数が多かったわけではないので、自分の影響力については意識せず、仕事そのものをしっかりやればいいという意識で仕事をしていました。周りの人が素晴らしい働き方をしていて憧れることはありましたが、あまり自分と紐づかないというイメージを持っていました。

今回自分が良い影響を与えられたということがちょっと信じられない感じはありますが、自分の態度が良い影響を与えていくことは良いなと思います。今後年次が上がったときに仕事の完成度だけを意識するのではなく、プロとしての姿勢や前向きな気持ちも求められますので、留学経験を活かし社内でも良い影響が与えられるようになっていきたいと思うようになりました。

--今回の留学で経験したことを所属企業でどのように活かしていますか?

小林 留学前とは違う姿勢を見せることを意識して仕事に取り組んでいます。今回の留学を通して学んだ「考えすぎず、どんどん前へ進む意識」をキープして、先々のことを心配せず、今目の前の人の役に立つことを考え続けていこうと常に意識しています。仕事を進める中で遠慮や怖さが出てきた場合は、冷静な目で認識するようにしていますし、また、早い段階で周りと相談しながら検討を練り上げていくことも続けています。留学前はあまり得意ではなかった他部署や社外の方との繋がりを作っていくことも続けていきたいと思っているところです。

組織としては、伸ばすべきスキルを各自がイメージできて、お互いが喜んでサポートし合えるような関係性が作っていけるといいと思っています。エッセンスの他社留学のビジョンにもありましたが、まずは「半径5m」の人たちを意識した取り組みを同時期に留学した3人で考えているところです。そういった中で、私自身が今回留学先からも評価していただいた「良い影響力」を活用してきたいです。

--留学で学んだことを組織の成長に繋げる活動も進めているのですね。

小林 最近、組織開発をやってきたメンバーが私の所属しているデザイン部署に合流しました。デザイン活動を製品企画段階まで広げて、ユーザーの心に迫るようなリサーチやワークショップなども始めているところです。これまでメンバー同士で案件レベルの話しかできていなかったのですが、今後は部署としてどうあるべきかディスカッションする機会を設けるなど、組織開発メンバーが企画しているので、私たちも一緒に活動していきたいと思っています。

同時期に留学した3人で、私たちが短期間で変化できたことについても話し合いを進めているのですが、エクスペリエンスデザイン部という組織をより良くしていくために何をしていくか、という話になると組織開発のメンバーとの整合性が大事になります。私たちが単発で何かをやるよりは、全体の方向性の中で実施して、どうしてそれをやる必要性があるのかみんなが腹落ちすることが大事だと思っています。部署としてどう進めていくのか、部長やマネージャーと連携しながら、積極的に進めていくつもりです。

 

<留学先からのコメント> ~株式会社カルモア 小澤様より~

貴重な時間をありがとうございました。お互い手探りだった中でかなり広範囲に弊社業務に携わって頂き、小林さんのポテンシャルの高さや引き出しの多さには驚きました。おそらくこれまでに相当努力されてきたものと思います。各業務で社内だけでは得られなかったであろう転機がありましたので、弊社としても良い機会になったと感じています。

小林さんの積極的に仕事に取り組む姿勢や躊躇なく発言していく様子を見て、「社内においても発言への躊躇や遠慮があったのではないか?」という私たち自身の気づきを得ることができました。また、小林さんからの働きかけによって、改めてプロジェクトの目的や内容の見直しを行うことがおき、プロジェクトがより活性化したり、仕事の進め方やそもそもの目的に対する感度が高まったこともあったり、良い影響を与えていただきました。

本業の方は弊社とは大きく異なる環境かもしれませんが、少しでも楽しそうな方に向けて仕事をコントロールしてみたり、ご自身の直観に自信をもって取り組んでみたりすると、周囲にも良い変化をもたらせるのではないかと思います。そういう素地を小林さんは持っていらっしゃる筈ですので、ぜひ楽しみながらもスペシャリティな仕事ができる状態を自ら築いていって下さい。半年間ありがとうございました。

 

会社名

横河電機株式会社

業種

制御・計測機器等の販売、保守サービス、電気計装工事、トータルソリューション展開及びエンジニアリング事業

URL

https://www.yokogawa.co.jp/