事例紹介
CASE STUDY

株式会社ニフコ×株式会社マモル様の導入事例

「もがき続けた半年間。頭だけで考えるのではなく、やってみることの大切さを学んだ」 (職種:商品開発、留学頻度:週1日、留学時:新卒入社14年目)

株式会社ニフコ×株式会社マモル
  • 目的

    他社の事業推進スピード、共創を生み出すマインドや行動力、目的や課題解決の取組み方や方法・ゴール設定を学ぶ

  • 背景

    自動車業界は100 年に一度の大変革の時代を迎えているため、同じ目的に向かう個々や組織の意識を変化させ、自走力を持ったクリエイティブな技術者の育成が必要だった

  • 効果

    頭だけで考えるのではなく、やってみることの大切さを学んだ

 

他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学中、留学後の想い、そして「留学後に何が変わったか」について、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、株式会社ニフコ。他社留学を経験したのは、商品開発に携わる藤生 達郎さんです。いじめ問題をIT技術で解決することと、この問題を広く世間に認知してもらう活動を進めるベンチャー企業、株式会社マモルへの留学を経験しました。留学中は、サービスのブラッシュアップ、PR、企画開発プロジェクトに携わりました。

 

所属

株式会社ニフコ

留学先

株式会社マモル

他社留学期間

週1日/半年間(2020年8月~2021年2月)

留学した人

商品技術センター商品開発課 藤生 達郎さん(留学時:新卒入社14年目 )

送り出した人

技術開発センター 技術主幹 根津 幹夫さん

 

― まず初めに、半年間の他社留学に参加してみて、いかがでしたか?

藤生さん(以下、藤生) 間違いなく参加して良かったと思います。最初に他社留学制度に応募したときは、どんな風に進むか予想ができていなかったし、ベンチャーに留学することで苦しむのではないか、という不安もありました。しかし、結果的に得るものが多かったので、参加して良かったと思っています。

 

― 留学中の半年間は、実際どんなことをされていたのですか?

藤生 最初の頃は、小中学生がいじめを考えるきっかけにと、人気マンガといじめを題材にした資料作成と、企画案検討や調査をしていました。その後、マモルが開発したアプリ「マモレポ」を知ってもらうために、GIGAスクール関係企業の動向と、企業内のどの組織と関わりがあるのかを調査・報告をしていました。後半は、企業から全国自治体向けに営業メールの実務を行いました。

 

- 今回の留学で得たものは何ですか?

藤生 一番大きいのは、やはり「頭でっかちにならずにやってみることの大切さ」でしょうか。これまでそれなりに経験を積んできているので、仕事を始める前にある程度想像できてしまうところがありました。たぶんこうなるだろうし、調べればわかるだろうって。でも、実際自分がやる状況になると、さあどうする?となって、気づけることがたくさんありました。そういった状況になったからこそ、自分の弱いところを改めて発見して気づくことができた。これが今回一番得られた中で大きな学びでした。

(写真:藤生さん)

 

- 途中でご自身が大きく変わったポイントがあったと聞きました。

藤生 大きく変わったポイントは、最初に決めた範囲以外もやっていいんだと思えたことでしょうか。当初、集英社スタートアップアクセラレータープログラムである「マンガテック」への応募を目指して、漫画からいじめやハラスメントに関する事業アイデアを探す、ということをやっていました。その過程で、自分で漫画だけをやるんだと思い込んでしまいました。留学先も最初に決めたプロジェクト以外はやってはいけないと勘違いしていたところもありましたし、私も留学先はそれだけを期待していると思っていたので、それ以外もやっていいということがわかったときに、それだったらこういうのもありますよ、という話ができたのが良かったです。当社では、自分のやるべきことが明確にあって、みんなそれを理解していて齟齬がない。ベンチャーでは、自分の携わる範囲ももっと柔軟でいいという点が大きく違いました。

 

- 一緒にプロジェクトを進めたのが社長の隈(くま)さんと聞いていますが、ご一緒してみていかがでしたか?

藤生 隈さんは、社長なので視座が違いました。普段話をする上司は、自分の仕事を知った上でそれに対しての軌道修正をしてくれることが多いのですが、隈さんの場合は全体を俯瞰した上で確認をしてくださいました。製造業だと一つ一つしっかりと見極めて、一つ一つに対して成果、内容をがっちりと把握して、積み上げていくというスタイルになります。隈さんは一つのことに執着せず、切り替えが早く、走り抜けて掴んでいく軽やかなタイプだったので、これまでの上司とは全く違いました。

その一方で、今回隈さん以外の方とあまり接する機会がありませんでした。分業制だったということもありましたし、リモート中心の環境だったからできなかったのかもしれませんが、もうちょっと踏み込んで、他の方とご一緒できるように自分で進めていくこともできたのではないかなと思います。コロナ禍じゃなければ、もっと営業同行などもできたりしたんでしょうけど、それはタイミングが合わなかったから仕方ないと思いました。働き方だけじゃなく、モノの見方みたいなところを肌で感じられたのが大きいですかね。

 

- 後半の期間で、自治体向けにメールでアポイントをとる営業にもチャレンジされたと聞きました。これまで営業経験はなかったと思いますが、いかがでしたか?

藤生 留学先と話していく中で、自治体への営業していくことが決まり、じゃあやってみましょう、ということになりました。ニフコの仕事でも、営業がわからないことについては、企業へのお問い合わせから質問していくこともあったので、抵抗がありませんでした。営業は大変だと思いますが、嫌いではないですね。お客さんの顔を見て、直接話せて、レスポンスも一番早くもらえる立場にある。これまで関わってきた商品開発とつながるところがあるなと思いました。

 

- この半年間、常に成果を出すことを意識されていたと聞きました。

藤生 そうですね、小さい成果を積み重ねていくイメージで、自分ができることはできる限りやったと思います。でも、もっと出来る事はあったかもしれないと思うこともありました。自治体向けに営業をすることが決まった過程で、私は企業向けに営業するのがいいと思ったのですが、他の皆さんの意見もあり、最終的に自治体向けに営業することが決まりました。これまで携わってきた分野と違うのでわからないことも多かったのはありますが、もっと自分なりの目線でいろいろなプランを提示できていたら、もっと面白くできたんじゃないかと思いました。

また、ゴールイメージがない場合に躊躇してしまったところがありました。ゴールイメージがきちんと共有できれば、それに合ったものを提供できたのですが、ほんとにそのゴールイメージでいいのか、ほんとはもっと違うゴールを目指しているのではないか、と思ったこともあり、難しい部分でもありました。

ベンチャーではゴールがわかっていない中でも走り続けないといけないので、走りながら考える人を見て、自分も迷ってしまってわからなくなり、これでいいのか、合っているのか、どの辺を期待されているのか、そんなことを自分で感じながらやっていくしかなくて、非常に生々しい経験ができたと思っています。そういう経験をする中で、自分のやれることならやっていくという割り切りといいますか、気持ちの切り替えは早くできるようになったと思います。

(写真:藤生さん)

 

- この半年間、いろいろ葛藤しながら過ごされた感じでしょうか。

藤生 もっと入り込むやり方もあったのかもしれない、そうしたらもっともっと違う結果が得られたかかもしれない、と思ったりもしました。マモルの魅力をさらに広めていくためにもっと違う立場だったり、もっと違うスキルがあったりすれば、もっと面白いことやれたんだろうなって思うところもあります。今の事業だけじゃなく、新しい事業を始められたら最高だったなと思います。外の人間としてマモルの中に入ることで自分なりに現状を理解した上で、全部をさらに一段階あげるにはどうしたらいいのか考え、その結果、今の事業を着実にしていくのがいいのかなと思ったのですが、じゃあ自分にできることは何だろうと考えていても堂々巡りになってしまうことが多く、もがいていました。

この話を伴走者にしたところ、「会社での成果というとファクトベースになってしまうけれど、実はこういうことを考えた軌跡というのが成長としては一番大きい。自分で考えて、自分の立ち位置をどうするかを自分で決めた、というのがすごい経験なんです」と言っていただきました。たしかに、中間の振り返り時点では、自分が何を提供していいかわからなかったですし、自分のやれること、提供できるもの何なのか、が一番考えたことです。行った先で自分なりに理解して自分の立ち位置を決めていく、それが今回得ることができた教訓です。今回の留学先以外に行ったとしても自分ができることを探してやっていくしかないし、ニフコでも同じことですよね。

 

― 今回の留学で、ご自身の課題や問題点について気づくことはありましたか?

藤生 今回は留学先からオーダーをもらって、それに合うものを提供して、その範囲内での広げていくことは意識していたのですが、なかなか自分から仕事を作っていくことができず、社内外で新しい繋がりを広げていけるような活動もすることができませんでした。どうやったら私の所属企業と留学先を繋ぎ合わせられるのか考えてはいましたが、それができませんでした。いきなりは無理でも、初年度はこういうことやろうみたいなプランを組めても良かったなと思います。

また、ある程度こういう風にできたらいいっていうイメージがあったとしても、そのイメージをどう形にしていけばいいのかっていう、組み立てをする部分が課題だと感じました。組み立ての方法もいろいろあって、それを一つに組み立てるんじゃなくて、いろいろな形にトライしてみる、っていう設計力といいますか、突破力といいますか。次の機会があれば、もっと違う形でできるのではないかと思います。

 

- 今後困難な仕事や困難な状況に陥ったとき、今回の学びを活かして、どんな風に対処していけると思いますか?

藤生 自分なりに目標を決めて、そのゴールに向けて周りを巻き込みながら一つ一つクリアにしていきたいと思います。自分の中でモチベーションを上げる方法は何?と聞かれたら、自分であげるしかないし、モチベーションを上げるための燃料は誰がくべるのかと言ったら、それも自分しかいない。じゃあ、その燃料は何になるのか、それも自分が決めればいいことだし、その燃料をどう燃やしていくか、それも自分で決めればいい。そして、燃やしたからには得られるものがあるよね、と思えればいいし、もっと他にやるべきことあるよね、と思えば他にリソースを割くように自分で決めて進めていけばいいと思います。今回の経験を通して、自分がどう困難と向き合っていけばいいか、自分の特性がわかったので、今後に活かせると思っています。

 

- もし、もう一度他社留学ができるとしたら、どんな企業へ留学したいですか?

藤生 やりたいことを絞ってもいいかなと思います。今後社内でより専門性が求められてくるので、専門性を高めるような留学をしたいです。何かの分野のトップの企業であったり、最先端の事業・技術に取り組んでいたり、同じ製造業でも全く違うものを作っている企業であったり。そういった企業であっても、ニフコに通じるところは必ずあって、得られたものもあると思います。また、自分にも提供できることがあるんじゃないかなと思います。

 

- どういう人が他社留学に参加するといいと思われますか?

藤生 自分自身が変わったという自覚があるからというのもありますが、30代の社員に効果的だと思いました。その会社に行って一旗揚げてやろう!と熱量を持って思えるのがこの年代なのかなと。自分より上の年代の役職者の人でも、若手であっても、そう思える人であればいいと思いますが、会社としてもそういった気持ちで取り組んでくれる社員が留学する方がメリットが大きいかと思いました。

 

<留学先責任者からのコメント> ~株式会社マモル 代表取締役CEO 隈有子(くまゆうこ)様より~

今回、ほぼリモートワークでslackでのコミュニケーション中心の留学となりましたが、非常に感じも良く、信頼できる方で、安心して業務をお願いすることができました。資料をお願いするとすごく細かく、調査などもしていただき、助かりました。常に役に立っているか等を意識されていて、何ができるかを何度か話し合いましたが、前向きな姿勢がとても印象的でした。「こういうのお願いしたいんだけど」と相談すると「やります」と言ってすぐ行動してくれて。その結果、いくつか結果に結びついたものもありました。今後も引き続きご一緒できればと思っています。ありがとうございました。

 

関連記事: 藤生様 留学中インタビュー(1ヶ月経過時) http://nanasan.essence.ne.jp/release/2843.html

 

 

会社名

株式会社ニフコ

業種

工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密成形部品の製造・販売

URL

https://www.nifco.com/