事例紹介
CASE STUDY

株式会社ニフコ×株式会社ガラパゴス 様の導入事例

「想いを分かち合うことの大切さを学び、変わることへの抵抗を払拭することができた」 (職種:評価分析、留学頻度:週1日、留学時:中途入社5年目)

株式会社ニフコ×株式会社ガラパゴス 
  • 目的

    AIの生の技術を学び、ニフコ社内のAI利活用を推進するため

  • 背景

    自動車業界は100 年に一度の大変革の時代を迎えているため、同じ目的に向かう個々や組織の意識を変化させ、自走力を持ったクリエイティブな技術者の育成が必要だった

  • 効果

    想いを分かち合うことの大切さを学び、変わることへの抵抗を払拭することができた

 

他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学中、留学後の想い、そして「留学後に何が変わったか」について、体験談を語っていただきます。

今回お話しを伺ったのは、株式会社ニフコ。他社留学を経験したのは、材料分析に携わる櫻井 大さんです。スマートフォンアプリサービス制作・運営やマーケティングクリエイティブに特化したデザイン提供を行うベンチャー企業、株式会社ガラパゴスへの留学を経験しました。留学中は、AIR Designによるアップデートプロジェクト(開発~サービス化)に携わりました。

<AIR Designとは?> https://airdesign.ai/
マーケティングクリエイティブに特化したデザイン提供ソリューションです。AIを活用することで高品質なクリエイティブを短期間でリリースを可能としています。

 

所属

株式会社ニフコ

留学先

株式会社ガラパゴス

他社留学期間

週1日/半年間(2020年9月~2021年2月)

留学した人

解析・評価分析センター評価分析 櫻井 大さん(留学時:中途入社5年目 )

送り出した人

技術開発センター 技術主幹 根津 幹夫さん

 

― 他社留学が終了して、この半年間を振り返っての率直な感想をお聞かせください。

櫻井さん(以下、櫻井) 非常に面白かったです。自分の成長につながりました。違う業界の人と話をして見識が広がった気がします。ニフコはモノづくりメーカーで、モノづくりにはコストがかかるし、検証にも時間がかかります。一方で、ITは真逆。でも、それは、勝手な価値観だと気づいたんです。留学を進める中で「あれ、もしかしてこれって、うちでも使えるな」っていう気づきがたくさんありました。

これまで私は、自分自身を変えることが怖いと思っていました。変わったことによる成功体験がなかったし、変えることにはエネルギーがかかるし、しんどいと思っていました。でも、留学先は、変化に柔軟で、変えることで大きく改善してきたから、よく変化していました。ニフコでもそうなるといいと思います。少しでも、変わるとよくなる。そのためにも、小さなことでいいので成功体験を積んでいきたいです。

(写真 解析・評価分析センター評価分析 櫻井 大さん)

― 留学中は、AIR Designによるアップデートプロジェクトに関わったそうですが、実際どんなことをされていたのですか?

櫻井 まずはじめの一ヶ月は、デザインの根拠となる指標を作るため、データ解析業務を実施していました。しかし、ある程度終わった段階で、ガラパゴスの中での本当に必要な仕事なのかどうか疑問を持ち始め、AirDesign内の聞き込みを実施しました。聞き込みの結果、本当に必要なのは世の中のニーズ調査、つまりマーケット情報の解析であることに気づき、残りの時間で試作と検証を繰り返しました。結果として当初の計画とは全く違う結果になりましたが、この聞き込みを通じて短期間で成果を出そうとする意識の高さスピード感を肌で感じられたので、行動してよかったと思っています。

実はこれら業務がフルリモートで成り立っており、「リアル」ではお会いしていない方々ばかりで不安な面もありましたが、最後には人となりまでわかるまでにプロジェクトの中に入り込めたのは貴重な経験をさせてもらったと思っています。

― この半年間どんなことを意識してプロジェクトへ参画されたのですか?

櫻井 今回の留学で、「利他的に行動する」という目標を掲げていたのですが、そのためにコミュニケーション量を以前の私と比べて倍以上に増やしました。具体的には、発信量を初めの一ヶ月より5倍程度増やす、積極的にヒアリングを実施する、週一回結果・ツール制作を実施する、業務以外の話を積極的に実施するといった行動をしました。その結果、最終的に留学先の方からもっと一緒に仕事がしたいと言われるまでになりました。

また、留学先のプロジェクトスピードに付いていくために、計画を立ててアポを取ったらすぐに話す、などを意識して進めることで多くのことを実践することができました。途中ヒアリングの方法が甘い状態になり、無駄な時間を過ごしてしまったこともありましたが、そこもコミュニケーションを増やしていくことで解決できました。結果として自動解析ツールと情報を集約するツールの提供、また多くの検証結果を残すことができ、留学先にも貢献できたのではないかと思います。

- この半年間での一番の変化は何ですか?

櫻井 この半年で発信するようになりました。自分から発信するのに慣れてないから大変でした。でも、そういう状況に追い込まれて、やるようになりました。他社留学の中で、半年の中で自分を知ってもらおうと思うと発信しかない。成果を出すためにも発信しかない。誰かがアドバイスをしてくれたわけじゃなく、自然とみんなが発信しているから、私もしないとまずいと思ったんです。これまでは、発信するよりも陰でコツコツ、一人で周りを頼ることもせずに仕事を進めることが多くて、一年後にこれだけ成果出しました、というのが自分のやり方でした。それが、この半年で変えられたと思います。

 

- この半年で発信できるようになったし、周りを頼るようにも変化したのですね。

櫻井 わからない技術ばかりで頼るしかなかったんです。恥を忍んで質問せざるを得なかった。でも、そういうことを通して、いらないプライドがなくなりました。・・・・・プライドというより、知っていないといけない強迫観念のようなものだったのかもしれません。生きている中でいつの間にか「全部知らないといけない」と思い込んでしまっていましたが、わからないことがあって当たり前、わからないことはわからないと正直に誠実に言えるように変わってきた気がします。

また、情報共有の大切さはわかったのですが、単なる事実の共有ではなくて、気持ちや想いの共有の方が大事だということもわかりました。想いを共有してもらうと、「そういうふうに思ってるんだ」ということがわかり、仕事もやりやすくなる。みんな違う想いを持っているのに、共有していないからバラバラになっているんだということに気づきました。今回の他社留学によって発信する機会が増えて、自分が発信しても大丈夫だと思うことができたし、自分自身が取り戻せたような気がします。

この半年で自分のかけてきたバイアス、偏見に気づけて良かったです。他社留学に参加する前から、何か違う、楽しくないし自分を隠している気がする、と思っているところがありました。いろいろ影響を受けてちょっとずつ、他社留学もきっかけとなってようやく少しずつ変わったかな、と思います。なので、こういう機会を得られて、根津さんやエッセンスさんにもとても感謝しています。

 

― 他社留学で学んだことがたくさんあったのですね。では、そういった半年間での学びをニフコへどう還元していきたいですか?

櫻井 「IT=面倒くさいもの」との認識を変えていきたいと思っています。社内のほとんどの人は、うまくITを使えていない。その背景には、作り手の「言われたからやった」「部署最適≠全体最適」があると思います。例として、IT化=文章をスキャンしただけ、などがあります。もっとITを使いやすいものにしたい気持ちがあります。

身近にできるものとして、組織改編で技術部門のシステムと合体したので、今あるアイデアは、2つです。樹脂データのデータベースを変える、設計図の検索がうまくできない点を変える、ということです。変えても使わないと意味がないので、成果を出さないといけないと思っています。

また、チームランサー(※下記リンク参照)を活用し、同じ目的意識を持っている人を募って、巻き込んでいきたいです。自分が社内的にどう見られているかと考えると、同じ建物内でいうと「分析は私に聞けば大丈夫」というのと、全社的に見ると「材料を集めている人、材料はこの人に聞けばいいんじゃないかな」と見られています。今後はもうちょっと視座をあげて、「システムはこの人に聞けば改善してくれる」となるといいなと思っています。

そこで、社内ブロガーみたいな感じで、発信していきたいと思っています。現状、発信する手段はメールと掲示板くらいしかないので、社内コラムを書く場を作って、書き込めるようにしたいです。社内でも情報共有ができないことに課題を感じているように思うので、そういう形で情報の共有ができるようになるといいなと思っています。チームランサーを使うことで、活発な議論の場所と情報共有の場所を作っていきたいです。

※株式会社ニフコ「Teamlancerエンタープライズ」の活用について
https://enfactory.co.jp/news/2021/02/24/100051
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000025659.html

 

- 組織変革に向けて、何をするかが明確になっているのですね。他にもやりたいことはあるんですか?

櫻井 同時期に他社留学に行ったメンバーとも想いを共有することで良い関係性を構築することができたので、今後もお互い助け合いながら、組織に貢献していくための仕掛けをしていきたいと思っています。チームランサーのような想いを共有する場所も増えるといいなと思います。来年度も他社留学が継続するので、卒業生としてこれから留学する人たちとも繋がっていきたいと思います。まずはブログの書き込みなどをする予定ですが、ゆくゆくは声でも発信したいと思っています。

ニフコへの還元は?というと、留学に行く前は、自分が組織の変化を促さなきゃならないと思っていました。しかし今は、留学に行くことによって人が変わる、その人がニフコへ戻ることでニフコ内が変わる、それが広がっていく・・・そうやって徐々に変革していくことが必要なんだな、と理解できました。「ニフコのため」というのもあるのですが、まずは「自分のため」じゃないとダメなんだなということもわかりました。今回の留学で、自分が「楽しい」「面白い」と感じました。やらされ感で何かをしても変えることはできなくて、楽しくないと人は変わらない。自分のためが会社のためになるから、まずは自分が変わればいい、そして、自分のやりたいことをやるのが大切なんだと思います。

今回の留学を通して、発信する怖さを克服することができたので、これからは自分の想いを分かち合うことで、想いに共感してくれる仲間と一緒に会社を良い方向へ変えていきたいと思っています。

(写真 解析・評価分析センター評価分析 櫻井 大さん)

 

<留学先責任者からのコメント> ~株式会社ガラパゴス 取締役最高技術責任者 細羽啓司様より~

〇櫻井さんの受入れに関して
最初はインターンシップの延長戦で考えていましたが、充分戦力となり、ご活躍いただきました。自分達には、見えない部分が第三者から強みとして映ることに驚き、自社の当たり前が当たり前でないことに気づきました。業務としては、AirDesaign設計のサポートだったのですが、仕事の進め方(判断ポイントを可視化するプロセステクノロジー、全社会の毎月開催など)を新鮮に感じてくれたようです。これらの体験は、櫻井さん自身の業務でのカイゼン活動に使えるのではないかと思います。

また、普段のニフコさんでの業務=技術オリエンテッド、プロダクトアウト的なスタイルから、マーケットイン、顧客体験を基点にプロダクトに落とし込んでいくことが初めての体験であったのではとも思います。留学中、顧客の痛みを体験してもらうまでの追い込みも、ニフコ社内でも活きるのではないかと思います。

また、今回週1回の留学ということでそれが逆によかったです。アウトプットに集中する方が時間の使い方をいつも以上に考えることができたので。当社としては、普段社外の人に接する機会が多くないので、第三者視点での見方を知ることができました。例えば、開発するための事前情報が欲しかった→マニュアルに記載するなど、自分たちには当たり前として見落としがちな点を気づくことができたのも良かったです。

〇櫻井さんの変化について
この半年を通して、発信するようになりました。仕事や技術などを超えた発信なども行っていました。見えない所でものすごく頑張っているのは彼のスタイルですが、当社の発信の風土に影響を受けたようです。最終的に、エンジニア以外のCSチームのメンバーとも蜜にコミュニケーションを取りながら進められていたので、素晴らしいと思います。また、常にビジネス的な価値のゴール設定を意識しながらの活動が出来ていたと思いますし、インパクトのある成果を出すことに非常に貪欲で「◯◯の方が良いのではないか」という提案を貰うことが多く、こちらが逆に刺激をもらうこともあるくらいでした。フィードバックを貰ってからの軌道修正スピードも驚くほど速かったです。

 

関連記事: 櫻井様 留学中インタビュー(1ヶ月経過時) http://nanasan.essence.ne.jp/release/2957.html

 

 

会社名

株式会社ニフコ

業種

工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密成形部品の製造・販売

URL

https://www.nifco.com/